品川補助29号線の裁判を傍聴して

 2021年9月9日、東京地裁の103号法廷で行われた品川補助29号線の裁判を傍聴した。

 

 戸越銀座商店街や住宅街を貫いて品川区から大田区に延びる5.4kmの計画道路は、道路幅員20m、その両側に各々30mの不燃化耐震化延焼遮断帯を作るというものです。

2017年6月に提訴して、2021年9月9日が第11回目の口頭弁論で、都市防災・都市計画専門家の中村八郎さんの1時間40分に及ぶ証人尋問でした。

 中村さんは、事前に市街地火災における延焼遮断帯の効果に関する意見書(本文19ページ、資料15ページ)が提出しています。この意見書を読めば、国や都のいう「都市計画道路は延焼防止のため」というのは、口実に過ぎないことが分かります。

 

 裁判では、原告代理人からの「幅80mの延焼遮断帯で防火できるのか」という最初の質問に、中村証人は、「都市防災は、飛び火が起きるので、80m、100mでは防火できない。両側に10m、20mの不燃・耐火の建築物を建てても飛び火は50~60mの高さとなること、建物も多くの所有者の別々の建物なので、隙間もあって、火の粉が入り込むことになる」と説明されました。

 引き続き、建設省や消防庁の資料、阪神・淡路大震災時の火災状況を説明、阪神淡路では20カ所以上の飛び火で火災が発生、100m飛んでいることも話されました。

 裁判長が被告国側に「質問は?」と尋ねると、国側代理人が異常なまでの質問。「木密地域に火災を防ぐために道路を作ることは意味がないのですか?」「(都市計画道路によらずに)不燃化するのにどのくらいの期間かかるか?」など、80mの延焼遮断帯は防火効果がないという証人の意見に対する質問でなく、「道路は防火に役立つ」と結論付けたい質問のようでした。

 すごいのは、東京都の代理人の質問、「道路なしに完全に延焼を防ぐのは可能か?」「飛び火のほかに、『逐次火災』というのがあるが、逐次火災を防ぐのに道路の幅を広げるのは意味があるか?」など、証人から、「不利な証言」を引き出そうと必死でした。

 中村証人は、国と都の代理人の執拗な質問に対して、全く動ぜず、すべての質問に切り返し、中には「(質問者の言っていることの)意味が分かりません。何を聞きたいんですか」とも。

 これまで、都側の筆頭代理人を務めていた方が、今回は国側の筆頭代理人になって、質問していたが、この人、各地の道路裁判もほとんど都側代理人となっていた人。他の裁判の証人尋問ではおとなしかったのに、今回の張り切りようは異常に見えた。「道路が延焼遮断帯に役立たない」という原告側の意見を何としてもつぶしておきたいということだったようですが、その国と都の思いは成功しなかった証人尋問であったと感じました。

 裁判長の公正な判断が期待されるところですが、この日裁判長が新しくなり、3人目の裁判長。これまで、10人の原告と8人の原告証人、3人の弁護士が意見陳述、東京都建設局の元木密課長の証人尋問があり、次回1215日は最終弁論となります。

 

 

ダウンロード
世田谷23号線事業認可取消請求控訴事件-控訴理由書(1)
2021年5月28日、東京地裁の判決に対し、東京高裁に取消請求控訴を行いました
23号線控訴理由書2020.05.28(1).pdf
PDFファイル 5.3 MB
ダウンロード
世田谷23号線事業認可取消請求控訴事件-控訴理由書(2)
控訴理由書は55頁になるので、分割してアップしています。
23号線控訴理由書2020.05.28(2).pdf
PDFファイル 5.0 MB

 

道路連絡会で「あの街この道 見て歩き」

 

世田谷の補助26号線沿線を歩きました

  すでに工事が始まっている三宿-池尻区間とまだ工事が行われていない代沢区間を歩きました。

  両区間とも、住宅地を通る構造で、井の頭線ではトンネル構造なので、その前後は掘割構造。

 都市計画道路補助26号線(三宿・池尻)と26号線(東北沢)

 26号線三宿・池尻地区 延長440m 幅員20m(標準) 2008年事業認可

 26号線東北沢地区 延長550m 幅員2233m 2006年事業認可

 26号線代沢-北沢地区 延長960m 幅員2033m 2019年事業認可

 

住民運動

  ★2006年 三宿・池尻大型道路問題の会発足・同年代沢の住民も加わる

   2007年から建設中止請願署名開始・ビラを関係地域配布・区議会議員にアンケートなど

   署名2245筆 都議会建設環境委員化で請願不採択(2007.6.6

  ★代沢地区で「安心して住み続けられる街をまえざす代沢・北沢の会」として活動

   チラシ配布、勉強会、集会、ステッカー、都内各地の道路問題団体との交流 

 ★2019年事業認可に対する不服審査請求書提出

 

品川29号線裁判傍聴記――国は審査せず事業認可とは

 

品川29号線の裁判が1225日、100人が入れる東京地裁103号室をほぼ埋め尽くす傍聴者が見守る中開廷、原告から準備書面(7)と(8)が提出され、2人の証人申請が申し出されていることを確認、その意見書の提出を踏まえて、2月と3月に弁論準備の日程を決めた。

 1人目の証人として原告が申請しているのは、防災問題研究家の中村八郎さんです。

  

 その後の報告集会をで、原告が提出した準備書面(7)と(8)について、弁護士から説明がなされた。

 <準備書面(7)>

 

 ★国は、事業認可の審査で、都の申請の理由に挙げている「防災効果や交通円滑化」について検討する必要がないと主張しているが、法令に照らして良好な都市環境を保持するかどうか審査されることが必要と指摘。

  50年以上前の計画が現在の時点で適切かどうかを法の定める都市計画基準に適合しているかどうか審査される必要がある。

 

 ★国は、行政機関が先に決定したものを、後でその適否を判断する権限がないと主張しているが、国が先に決定した都の行為が適法か否かを判断することができると指摘した。

 ★被告は交通量が増加すると予測しているが、その理由に、「高齢化が進んで通勤が減って、私事目的の移動が増えること、免許保有の高齢者(65歳以上)が増える」からとしている。高齢ドライバーの重大事故多発や免許返納などの社会情勢が考慮されていない。

 ★道路を掘割構造にするとしているが、道路と沿道住宅地とは3m以上の高低差ができ、沿道から道路へのアクセスが考えれていないので、崖となり危険が放置されている。

 ★都は、延焼防止としての飛び火対策に道路はならないことを自白している。そして地域の消防力強化で被害軽減を主張しているが、道路は住民の連携・協働の機会を奪うものである。

  その他、都と国の主張は恣意的なデータ利用で、都合のよい結論に導いていることを原告の準備書面は明らかにしている。

  なお、準備書面(8)は、報告集会で配布されなかったので、入手された後で、報告します。 

ダウンロード
小平3・2・8号線控訴審判決(2019.7.25)
東京高裁の控訴審判決です。
東京高裁判決2019年7月25日 (1).pdf
PDFファイル 5.3 MB

小平3・2・8号線訴訟原告団は、83日、東京高裁の7月25日判決に対し、臨時総会を開き、最高裁に上告することを満場一致で決定しました。

 

 

総会では弁護団の吉田弁護士が、判決の評価と裁判の経緯、最高裁の手続きについて報告しました。

 

 判決の特徴は、地裁の判決をそのまま引用して判断していることと、地裁判決にもないとんでもない判決を下している部分があることを紹介した。

 

 環境アセスについては、アセスの枠組みが適合しているから問題なしとし、司法の役割を放棄、交通量が減っているのに、行政の計画を絶対視して、道路ネットワークが大事と判断。

 

 原告が27人だが、もっと多くの人が反対でないのではないか、と勝手な判断、お金を払えば補償されるので問題ないというとんでもない判断を示した。

 

 昭和37年の「都市計画決定」の違法性については、「大東亜戦争遂行のため、大臣決済・内閣認可を省略できる」とあることが、大東亜戦争というのは目的でなく、、動機付けにすぎないので、戦争終わった後でも、憲法上問題ないと、これも1審判決で触れていないことを主張。

 

さらに、「局長決済」の欄が「代決」されているは問題あるが、長年、このことについて争われていないので、治癒されたものと判断した。

 

 ただ、原告適格の問題については、地裁の判決を否定しなかったので、原告適格を広く認めた地裁判決を認めたこととなった。道路からかなり離れた5人の裁判を受ける権利在りとした、1人は2.6km離れたところに住んでいる方です。

 

 その後、原告から質問や意見、上告理由に加えてほしい論点などが提案されてました。

 

 戦時立法の問題は上告理由になるのか、交通予測が間違っている点は最高裁で争えるか、都の交通量算出は、配分票が間違っているからだが、この配分票を都は公表していない。コミュニティの問題で、判決はお金を払えばいいと言っているが、基本的人権の問題として「最高裁で争えるか、などなど、たくさんの意見が出されました。

 

 

 

補助92号線(北区・荒川区=優先整備路線・第四次事業化計画)の現地を見学しました。
北区上中里駅前に集合して、92号線(荒川)の代表と荒川・北区の住民のみなさんの説明を聞きながら現地を歩きました。
北区側では戦前にできた道路や3本の鉄道が交差した地点に塞がれて、道路事業がストップしている地域。
ところが荒川区に入って計画地の路地は一変。道路はいらないとの旗が軒並みはためいていた。
これを見た都の建設局の課長が、「率直なところ、地元の方の理解が得られない現状では、事業を先に進めることは

難しいと感じている」と、住民との会談で答えたことがうなづける。
町会の掲示板にも事業概要を知らせる張り紙が貼ってありました。

特定整備路線の全都集会前に、北区十条の補助73号線の計画地を見学しました。
十条駅の北側の住宅地を壊して作る計画に、住民が中止を求めて運動。
黄色い幟がたくさん、家々にはためいていました。
「測量に協力しません」というポスターも。

 

世田谷区道・主106号線の裁判を傍聴して

 

 

 

 平成22年(2010年)に事業認定申請があり、翌年事業認定された後、土地収用法に基づく収用裁決、所有権移転、明渡採決に対して裁判を含めて争ってきた「世田谷区主要生活道路106号線」(恵泉裏通り)に対する2つの訴えについて判決言い渡しが427日東京地裁で行われた。

 

 一つは、東京都の収用委員会に対する土地取り上げと明渡採決の取消を求める訴え、もう一つは世田谷区に対して土地の登記抹消を求める訴え。

 

 判決は、主文のみ、都に対する訴えは却下、区に対する訴えは棄却。

 

 

 

 この道路、過去の判決や裁判後の報告集会での弁護士に話によると、そもそも、この道路計画は、地主と借地人の間で紛争があり、区がその土地を買い取ったことに端を発し、必要もない計画道路が具体化されたという。計画地の住民と計画地の一部が含まれる恵泉女学園の反対運動が広がった。

 

 

 これに対して、行政側が町会や住民に大攻勢をかけて、1万筆近い署名を集めて道路建設促進を要望。反対していた恵泉女学園に町会長たち行って、土地を売るように圧力をかけた。

 

 都会の貴重な自然を守るために、反対を表明していた女学園は、住民と一緒に反対運動をやってきたのに、1万筆の署名を見て「わからなくなってきた」と反対している住民団体に話し、買収に応じてしまったという。

 

 これは、区が直接対応でなく、土地の値上がりを求める地主たちが町会を利用したものという。

 

 原告で、住民団体の代表の女性、車いすで法廷、報告集会に出席、「半世紀以上、この地の自然と一緒に住んでいる。95歳になるが環境に行かされていると思っている。水と緑、地下水がコンコンと湧き出ている。渡り鳥がシベリアからやってくるのもここの自然が好きだからと思う」と発言されました。

 

 

立川3・3・30号線の説明会(出前講座)を傍聴して

 

 

 

立川の方から小金井市民の会のホームページを見て連絡したと話があったことがきっかけで、相談にのったのが立川3330号線。20年ほど前に事業化計画が公表されたとき、地元の猛反対で、中止になったが、昨年12月、道路の変更説明会があったもの。そのときは出席者も多くなかったので、立川市の「出前講座」で、再度説明を、と要請したところ、東京都の担当者が説明にくるということで、地元の方と一緒に小金井から3人が参加した。

 

東京都の説明は、「都市計画変更素案のあらまし」という都のパンフレットと、スライドを使って説明。(いずれも都の都市建設局及び立川市の下記のホームページからダウンロードできます)

 

https://www.city.tachikawa.lg.jp/toshikeikaku/shise/toshizukuri/toshi/juransetsumei/soan-setumei3-3-30_3-2-10.html

 

 説明では、この道路が必要な理由として、「事業予定地である立川駅周辺が渋滞している」「緊急車両が渋滞に巻き込まれている」「路線バスも」「通学路が狭くて危ない」「震災時に車が通れない」などを理由にあげて、混雑の緩和を図ると述べた。

 

この説明に対し、会場からは次々質問、そのいくつかを紹介します。

 Q)今までほっといて、なぜ今やるのか、その説明がない。我々はずっとここに住んでいるのに。

 返答)昭和36年に計画し、これまでなかなか整備に至らなかったのは申し訳ない。多摩地区の重要な骨格路線になっているので。

 Q)混雑緩和というが、駅に向かう道路の渋滞と南北に伸びる道路の渋滞とは違う。駅に向かう道路が混んでいるのであって南北に延びる道路が混んでない。駅に向かう道路は駅周辺に駐車場がないからこんでいるんだ。

 Q)今回は、南の方は対象外というが、南側もやる計画でしょう。その先の国立の方はどうなってるのか。東京女子大のグランドと南武線が通っている。その説明をして。

 Q)車の台数は減っている。若い人も乗らなくなっている。今、急いで道路をつくる時代ではなくなっている。大阪では97路線廃止したとホームページにでてる。埼玉でも46路線廃止と、千葉も。東京都は財政が大変、豊洲問題で金もかかる、小池さんは「都民ファースト」と言っているのに、「どんどん進めろ」といっているのか。

 などなど。

 

もっとも、この説明会は、立川市の「出前講座」という立川市が市民に行政の説明をする場として設けられている制度を活用したもので、今回は都の道路であるため、都の建設局の担当の方に説明をお願いして開催された。今回は、立川3330号線の幅員変更の説明が目的だったが、その前提となる事業区間の説明も行ったものです。

 

終了後、みなさん、こんないい加減な説明しかできないのに、我々にでていけなんんてとんでもないと、口々に話していました。

(写真左は「立川3・3・30号線」の説明図、右は、この路線予定地の現在の道路、ただし、正面の突き当りの向こう側の住宅地をさらに突き抜ける) 

 

世田谷の補助52号線の学習会に参加して

  

世田谷の補助52号線(優先整備第四次事業化計画)の見直しを求めている住民団体の学習会が49日に経堂で行われた。経堂駅近くから環八までの延長2,300mですべて住宅地、途中で小田急と交差する。

 1996年に突然事業化計画が浮上、すぐに反対運動を始め、2012年まで計画はストップしていたが、2012年に東京都は優先整備路線にするとして、再び浮上してきた。 

世田谷区の第四次の優先整備路線は、都と区で合計19路線。 

この日は、主催の補助52号線の住民団体だけでなく、近隣の道路関係の住民も参加しての学習会で、世田谷区選出の全都議にも参加を呼び掛けたということで、自民党の大橋都議、共産党の里吉都議があいさつ。 

講師は、道路連絡会議の長谷川茂雄さん。これまでの講義では触れられなかった新しい話を聞くことができた。以下の長谷川さんの講演から。

 

 ★優先整備路線に選ばれたからといって必ず手を付けられるというものではない。三鷹3・4・9号線は第二次に平成8年に、第三次に平成18年に、第四次に昨年決定されたが、まだ作られていない。

   第三次のうち、着手は53%、第四次でも選定されたのが30%、第四次で外れたのが17%

  ★事業認可を得てから、道路ができるまでに20年かかっている。住民の反対運動があればさらに遅れる。だから、現在の「交通緩和」や「災害対策」にはなんの役にもたたない。

  ★被害を受けるのは、道路予定地の住民だけでなく、道路に係らないで、道路に接している住民、騒音・排ガス・夜寝られないなど。

  ★道路で強制収容は、この20年間ない。区画整理事業では強制収容やるが、道路ではやらない。

  ★裁判だけでは勝てない。住民運動との連携が必要。

   練馬外環の2の判決(2017.3)で、道路計画は「違法の可能性あり」としながら、その後、「変更された」ので、「治癒された」という東京地裁判決。

 

 その後、質疑応答や意見表明。

  経堂駅近くのお寺の住職さんも運動に参加され、この日も挨拶で「私も生きている限り反対運動に参加していきたい」と。

  「私の所は50年かかっているが、まだできていない。早く廃止してほしい」「私が嫁にきて60年間ずーっとこの話、生きた心地しない。60年も道路作られないのに何で、今頃やるのか、ここで住み続けたい」「今日の話で、心強く感じた。知らない人が多いので、知らせることが大事」など様々な意見がだされた。

 

 

世田谷の補助26号線(代沢-駒場)の「事業概要及び測量説明会」に参加して

  

328日、世田谷区代沢の富士中学校で行われた「事業概要及び測量説明会」に、小金井から4人が参加。長谷川さんによると、「事業概要」と「測量」の2つの説明会を一緒にやるのは聞いたことがないという。

 会場の左右には、地図が貼ってあり、見ると、池ノ上駅から歩いてきた閑静な住宅地の貫く道路になっている。

 補助26号線は、昭和21年に決定したという品川から板橋に至る22.4kmで、そのうち、960mが今回の区間。幅員20~33mで、井の頭線を交差する部分はトンネルになる。

 付近には小学校の通学路が3本あるが、説明では交通安全を主張していた。

 近くの道路が狭く、混雑しているので、交通の円滑化などを強調していた。

 が、説明では、用地測量後事業嫡子まで、2年、それから道路完成まで7年という。通常は予定より大幅に遅れるので、早くても10年はかかる計算。交通量は、10年後には今の予測ほどないのでは思われる。

 測量は、道路予定地の両側からさらに外側も実施するといい、住民には立ち合いを求めると。

  都の説明が1時間、質疑応答が30分。やはり、「説明会を実施した」というアリバイ作り。

 住民からの質問では、この説明会が周辺住民に周知していないこと、「広報」のわずかなスペースでは、わからないと。

 交通量や保証算出の基準なども質問がでたが、30分で打ち切り。

 すっきりしない説明会でした。

 

小平3・2・8号線取消裁判傍聴

 

1031日の東京地裁522号法廷は開廷前に52の傍聴席が満員、後から来た人は入れず締め出し。原告・弁護団席も20人以上。2人の証人尋問と、1人の当事者(原告)尋問。

 

環境経済研究所代表の上岡直見さんは、東京全体で交通量が減っているのに、小平周辺だけが交通量が増えていることの不自然さを指摘、都の人口、免許取得率、自動車保有台数、貨物自動車数など様々なデータを用いて、多摩地区のなかで小平だけが増えることはないと指摘しました。

 

2人目のつくば健康生活研究所代表の嵯峨井勝さんは、自動車排ガスが健康に及ぼす仕組み、東京のPM2.5が排ガスに由来している事、環境基準を達成していないこと、小平の児童は東京全体の平均よりぜん息罹患率が1.44倍も高いことを指摘し、都がおこなった道路環境アセスが不十分であると指摘しました。新たにできる道路によって、道路周辺の住民の健康被害が起きるとの話に、小金井の静かで緑豊かな住宅地に道路ができたらどうなるかと思いました。

 

この裁判の原告である標博重さんはアセスの騒音の過小評価や、交通量推定の問題を指摘しました。東村山から府中まで5万台とされていた交通量が、東村山区間では2万台に減っているのに対し、小平区間は5万台のままというのは意図的と。夜間の騒音も新青梅や東八道路の測定データを用い、現在。新青梅では朝の5時~6時に家の中でも70デシベルという環境基準を30デシベルも上回っていることを示し、新たな道路での騒音の危険性を訴えました。

 

標証人は最後に、これまで3件の道路裁判で原告、証人となったが、全部負けた。なぜ負けたか。裁判所が裁量権の範囲を異常に広げたため。裁判官は法律に書いてあることを住民の立場にたって、判決を出すことを求めると結びました。声をいっぱいにしての訴えが法廷に響いた瞬間でした。

 

終了後の報告集会では、各地から参加した市民団体からひとことづつ発言、小金井も3人が傍聴したこと、たくさんの署名をいただいている事や、近況を報告しました。